外壁に塗る漆喰の特徴とは?外壁を漆喰にするメリットやデメリット、メンテナンス方法を解説

マイホームを建てる際、どんな外壁にするか悩む方は多いでしょう。外壁に使用する素材にはさまざまな種類がありますが、そのなかで「漆喰」を選ぶ人もいます。

 

しかし、「漆喰の名前は聞いたことがあるけれど、詳しいことはわからない」という方が多いでしょう。漆喰の外壁には良い点・悪い点の両面があるので、きちんと理解しておくことをおすすめします。

 

今回の記事では、漆喰外壁のメリット・デメリット、メンテナンス方法を詳しく解説します。マイホームの外壁選びに困っている方、漆喰外壁が気になっている方はぜひ参考にしてみてください。

外壁として使う漆喰の特徴・性質

漆喰は石灰に糊や粘土を混ぜ合わせた伝統的な壁材です。昔から日本建築で漆喰が多用されてきたのをきっかけに、寺社や民家などの壁、継ぎ目の充填剤として用いられています。

 

漆喰外壁の特徴は、自然素材の温かみや重厚感・高級感を演出できる点です。優しいイメージにしたい方や、ワンランク上の家づくりを目指している方に好まれています。コテ模様仕上げにより、さまざまなデザインを表現することも可能です。

 

また、漆喰外壁の性質として、こすると手に粉のようなものがつく「チョーキング現象」を起こしやすい点に注意が必要です。最近では一般の素材と比べて、外壁素材として使われる機会が少なくなってきています。

外壁を漆喰にするメリット・デメリット

 外壁を漆喰にすると、メリット・デメリットの両面があります。

 

ここからは漆喰の良い点と悪い点をそれぞれ解説します。漆喰外壁について、あまり知らない方はよくチェックしておきましょう。

 

外壁を漆喰にするメリット

漆喰の外壁は、主に耐用年数・調湿効果・デザイン性・抗菌作用の面で優れているのが特徴です。

 

以下の章では、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

 

耐用年数が非常に長い

漆喰の耐用年数は約30100年と、非常に長いのが特徴です。適切な時期に適切なメンテナンスを行えば、耐用年数は優に100年を超えるともいわれます。

 

他の外壁素材は2050年が平均耐用年数なので、漆喰の丈夫さは段違いです。頑丈で長持ちしやすいため、歴史的建造物にも多用されています。

 

ただし、100年もたせるためにはメンテナンスが欠かせません。定期的に点検し、塗装や補修が必要かどうかを確かめる必要があります。

 

調湿効果が高い

漆喰には細かい穴があり、湿気をコントロールしてくれる機能を持っています。

 

素材に使われている消石灰が二酸化炭素を吸収し、石灰岩に凝り固まっていくことで湿気が調整されます。湿度の高い時期には湿気を吸い取り、湿度の低い時期には湿気を放出するのがメリットです。

 

このような調湿効果は、部屋で快適に過ごすために非常に役立ちます。特に現代住宅は気密性が高いため、湿気や乾燥を防ぐ機能は必須です。

 

冬場の乾燥や夏場の湿気に悩んでいる方には大きなメリットといえるでしょう。

 

洋風から和風まで多彩なデザインが表現できる

デザイン性の高さも漆喰の魅力の一つです。

 

和風の日本建築や洋風建築など、どのような建築様式にも合うデザインを楽しめます。塗り方や着色によって、和風から洋風まで多彩な雰囲気に仕上げることが可能です。

 

特に、白色による雰囲気やシンプルなデザインを好む方におすすめです。清潔感や高級感を演出できるので、ワンランク上の外壁に仕上げたい場合にピッタリです。

 

また、静電気を起こしにくいため表面に埃が溜まりにくく、塗り立ての状態を保ちやすいのも魅力です。

 

抗菌作用に優れ健康に良い

漆喰はカビの増殖を抑制する機能があり、アレルギー症状の緩和を期待できます。

 

ph値が高い強アルカリ性なので、抗菌・殺菌作用に優れています。

 

カビ・細菌の発生によるシックハウス症候群や、ホルムアルデヒドから起こる健康被害を防いでくれるため、赤ちゃんや喘息の方がいる家庭でも安心して使用可能です。

 

さらに消臭効果もあり、家のニオイも気になりません。

 

デメリット

続いて、漆喰外壁のデメリットを詳しく解説します。注意すべき点は、費用・仕上がり・傷や汚れの3つです。

 

デメリットがあることをきちんと理解した上で、漆喰にするかどうかを検討しましょう。

 

高額な費用がかかる

漆喰の外壁塗装は、他の塗り方よりも費用が高くなる点に注意が必要です。原料自体は安価であるものの、手間と時間がかかるため最終的には高額となってしまいます。

 

漆喰の外壁にする場合、1㎡あたり7,000円~8,000円が相場です。施工費にプラスして、足場組み立てや高圧洗浄の費用が追加されるため、総額は50万~60万円ほどになります。

 

一方、普通のペンキだと3,0005,000円が相場なので総額も漆喰の約半分程度です。漆喰外壁はかなり割高になってしまうでしょう。

 

また、費用が高額になる理由として、技術を持った職人が少ないという側面もあります。漆喰は100年以上の耐久性があることから、長期的に見るとコスパに優れているともいえます。しかし、初期費用として高額な点は目立ってしまうでしょう。

 

左官職人さんによる出来の違いが激しい

漆喰を塗装するには高い技術力が求められるため、左官職人の技量によって仕上がりが大きく左右されてしまいます。

 

最近ではサイディングボードを使った外壁塗装が多いため、漆喰を塗装できる職人が減っています。そのため、技術力のある左官職人を見つけるのが非常に困難となっている状況です。

 

漆喰外壁を美しく仕上げるには、腕の良い職人を探すことから始めなければなりません。その分、他の塗装工事よりも手間がかかる点に注意しましょう。

 

傷や汚れが付きやすい

漆喰外壁は消石灰がベースとなっているため、ひっかくような性質の衝撃に弱く、硬いものでこするとすぐに傷がついてしまいます。

 

また、漆喰には弾力性が少ないことから、ひび割れしやすいことにも要注意です。ひび割れは主に天候や気温により発生しますが、地震の揺れでもひび割れを起こす可能性があります。

 

漆喰の表面には小さな穴が開いており、汚れが付着しやすい素材です。汚れやすいので、きれいな状態をキープするには定期的に清掃しましょう。

 

外壁に用いる漆喰の種類

漆喰には本漆喰・土佐漆喰・琉球漆喰・西洋漆喰の4種類があります。それぞれ見た目や特徴が異なるので、自分の好みに合うタイプを探してみましょう。

 

ここからは4種類について詳しく解説していきます。

 

本漆喰

真っ白な見た目で、昔からある日本建築のほとんどに使われている最も一般的な漆喰です。

 

本漆喰は消石灰・海藻で造った糊・麻繊維の3種類のみの原料で作られます。自然由来のものだけで構成されるため、混じり気がなく美しい見た目に仕上がるのが特徴です。

 

下地が土壁で、下塗り、中塗り、仕上げ塗りと、複数の工程を経て仕上げていくため、左官職人の熟練した技術が必要となります。しかし、最近では漆喰塗りに対応できる職人が少なくなっており、簡単には人手が見つからない状態です。

 

その分、外壁にこだわりがある方にはおすすめのタイプといえるでしょう。また、白を基調としているため、シンプルなイメージに仕上げたい方にも好まれます。

 

土佐漆喰

土佐漆喰は、施工直後はクリーム色ですが紫外線が当たると白くなり、最終的には少し黄身がかったようなやわらかい白色になるのが特徴です。

 

土佐漆喰は消石灰、藁、水を熟成して作りますが、本漆喰のように糊を使いません。糊を入れないことにより、一般的な漆喰よりも水に強いメリットがあります。丈夫で防火性も高いため、外壁以外にかまどに使用されています。

 

昔から高知県で採用されてきましたが、近年は仕上げ材として再度注目を集めている漆喰です。

 

琉球漆喰

琉球漆喰の特徴として、濃い黄色〜濃い茶色と他よりも色味が強い点が挙げられます。

 

土佐漆喰と同じように糊を使わないのが特徴で、生石灰、藁、水を混ぜて作られます。黄色や茶色になるのは、主成分の藁が発酵するからです。土佐漆喰よりも藁の混合量が多いため、より濃い色合いが出ます。

 

また、沖縄の強い台風にも負けない耐久性、暑い夏でも優れた断熱性と調湿効果により室内を涼しく保てる、といった機能面に優れているのもメリットです。近年、その機能性が評価され、新築やリフォームで使用する住宅が増加しています。

 

西洋漆喰

西洋漆喰は白く輝いた仕上がりになるのが特徴です。長い歴史を持っており、古くはメソポタミア文明の遺跡やピラミッドの内壁にも使用されていました。

 

耐久性が非常に高く、100年以上住み続けられるともいわれています。消石灰無機質の色粉、砂や大理石、セルロースファイバーなどを混ぜ合わせたものが主成分です。

 

主にイタリアの教会やお城などに使用されていますが、産地ごとに混合する材料が異なり、スペイン漆喰やフランス漆喰と呼ばれることもあります。別名プラスターと言い、日本の外壁にも使用されています。

 

外壁に漆喰を用いたときのメンテナンス方法と費用

 

漆喰は耐久性に優れていますが、美しさを保つには定期的なメンテナンスが大切です。また、外壁塗装を漆喰にした場合、どれくらいの費用がかかるのかも気になるでしょう。

 

ここからは、漆喰外壁のメンテナンス方法と費用について説明していきます。

 

メンテナンス方法

漆喰を長くきれいに保つためには、場所や劣化症状に合わせて適切にメンテナンスする必要があります。

 

汚れやカビがある場合、軽い汚れであれば消しゴムで簡単に落とせます。頑固な汚れや汚れ箇所が広い場合は、市販のメラミンスポンジを使うのも方法です。100円ショップでも手軽に購入でき、水で濡らすだけで手軽に使用できます。

 

塗装が剥がれてしまっている場合は、下地を調整してから塗り替えるようにします。すべて塗り替えるとかなりの時間がかかるため、こまめにチェックして早めに対処しましょう。

 

ひび割れや傷が入っている場合、部分補修で上から漆喰を塗り重ねます。ただし劣化が激しいと、一度表面の漆喰をきれいに剥がしてから塗り替える必要があります。

 

漆喰はひび割れしやすい素材のため、少しでも割れや傷が入ったらすぐに補修を依頼することが大切です。

 

漆喰はひび割れしやすく、傷が付きやすい素材です。定期的に点検し、もしもひび割れや大きな傷が入ってしまった場合には、早めに補修しましょう。

 

メンテナンス費用

外壁を漆喰に塗り替えると、1㎡あたり6,0007,500円程度の費用がかかります。一般的な住宅だと総額はおよそ6075万円です。

 

漆喰外壁のメンテナンス方法は、大きく分けて「重ね塗り」と「塗り替え」の2種類があります。重ね塗りだと総額3040万円、塗り替えは約6075万円が相場です。

 

メンテナンス方法

1平方メートルあたり

費用相場(30坪の住宅の場合)

重ね塗り

3,0004,000

30〜40万円

塗り替え

5,0007,000

60〜75万円

 

この他に、足場設置のための作業費用(約1,000円〜1,500/㎡)が必要となります。

 

また、劣化状況や業者によって相場が異なるため、詳しい金額については問い合わせてみましょう。

 

漆喰の外壁も選択肢の1つに入れてみよう

外壁を漆喰にすると、自然素材の温かみや重厚感・高級感のある家に仕上がります。

 

漆喰は耐用年数が長く、調湿効果・抗菌作用に優れているのがメリットです。また洋風から和風までさまざまなデザインを選択できるので、多彩な雰囲気を演出できます。

 

ただし、費用が高額になりやすい、腕の良い職人さんが見つかりにくい、傷・汚れに弱い、といった点には注意してください。

 

漆喰外壁を長くきれいに保つには、定期的なメンテナンスが欠かせません。こまめに点検し、劣化していたら早めに対処しましょう。

 
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