外壁塗装で発生するトラブルの事例や対策について解説

外壁塗装工事は、家の外観を美しくするだけでなく性能を保つためにも大切な工事です。

しかし残念ながら、外壁塗装工事のことでトラブルが起こったという声を耳にします。

 

「外壁塗装でトラブルが発生するのはどんなとき?」「トラブルが起こった場合の対処法は?」このような疑問を持つ人も多いことでしょう。

外壁塗装で起きがちな問題を事前に知っておけば、いざという時にも安心です。

 

そこで今回は、外壁塗装工事で起こるトラブルと対処法を解説します。

 

外壁塗装の仕上がりに関するトラブル


外壁塗装の中でも、仕上がりに関するトラブルは多くみられます。色合いが想定と違う、予想しない部分まで塗装されたといった見た目に関するトラブルです。

 

ここでは、よくある仕上がりに関するトラブルを詳しく解説します。

外壁の色合いがイメージと異なる

外壁塗装が完成して、きれいな色になるのを期待している人は多いでしょう。

 

しかし、「見本から色を決めたのに、仕上がってみたらイメージと違う」という問題は、残念ながら外壁塗装で起きがちなトラブルです。

 

色は、大きな面積になると見本とは違った印象を受けることがあります。この場合は、施工者が色を間違えたというミスでない限り、無料でやり直してもらうことは難しいでしょう。

外壁の色をCGなどのシミュレーションで確認できるシステムを利用して、トラブルを防ぐことが大切です。

 

そして、業者に依頼すると、A4サイズの色見本を準備してもらえる場合もあります。色見本は、晴れの日の屋外で、太陽光にあたった状態で確認しましょう。

 

このように、外壁のシミュレーションや色見本などの道具をうまく活用して、トラブルを防ぐことが大切です。塗装中にも気になることがある場合は積極的に質問してみましょう。

塗装部分が色褪せや剥げてしまった

外壁塗装後、すぐに色褪せたり塗装面が剥がれたりする場合があります。この場合は、施工者のミスである場合が多いでしょう。

 

塗膜に色褪せや塗装が剥がれてしまうのには、以下の理由が考えられます。

 

  • 以前の塗料を十分に取り除かないまま塗装工事をした
  • 外壁材の種類に適合しない塗料を塗った
  • 下塗材の量が少なかった

 

塗膜の剥がれをはじめとしたトラブルは、完成直後はとてもきれいな仕上がりに見えるため、一見施工ミスとは気付きにくいものです。トラブルを防ぐためには、塗装の工程や塗料の缶の量、何回塗るのかを施工業者に報告してもらいましょう。

 

また、後々、施工不良だった証拠を得るためにも、作業中の工程ごとに写真を撮っておくと安心です。

木部や鉄部で塗料の密着が悪く剥がれてしまった

金属系の外壁材や、木質系の外壁材の場合、塗料がうまく密着せず剥がれてしまうというトラブルが起こることがあります。塗料の剥がれは、ケレンと呼ばれる下地調整がきちんと行われていないことが理由です。

 

外壁塗装における下地処理とは、あとから塗る塗料をしっかりと密着させるために行います。

 

下地処理では、まずサビやコケなどを除去し、剥がれかかっている以前の塗装の塗膜をきちんと剥がしていくことが大切です。

 

下地処理を行い、塗料の密着性を高くして長持ちさせます。施工不良で、外壁塗装後すぐに塗膜が剥がれてしまった場合は、塗り直しを業者に依頼しましょう。

 

塗装箇所が想定より多い・少ない

「想定していない部分まで塗られてしまった」という問題は、外壁塗装で起こりがちなトラブルです。塗装業者は、塗らない部分に養生する手間を省くために、配管なども一緒に塗ってしまうことがあります。

 

万が一、塗装されると思っていなかった雨樋や軒先、サッシ、エアコンの化粧カバーなどが塗られてしまったときは、仕上がりイメージの図面や工程表を確認しましょう。

 

また、まれに塗り残しがある場合もあります。特に、雨・風・気温などの影響で、塗装工事を中断したときに起こりやすくなります。

 

特に和風住宅の木部塗装に使われるクリアー塗装は、塗った部分と塗っていない部分の区別がつきにくく、塗り残してしまうことがあります。

 

塗り残しによるトラブルを防ぐために、施工後に入念に建物を確認しましょう。

外壁塗装の施工中に発生する周辺トラブル

外壁塗装工事には、一定期間、洗浄や塗装、養生などさまざまな工程があるため、工事中に問題が起こることもあります。事前によく発生するトラブルを知っておくと、万が一の際も安心です。

 

ここでは、外壁塗装の施工中に発生する周辺トラブルを解説します。

自宅や近隣住宅に塗料が飛び散り付着した

外壁塗装中に、自宅や近隣住宅に塗料が飛び散って付着するというのは、施工中によくあるトラブルの一つです。家の柵、庭の植栽やタイルといった部分が多くみられます。

 

まず、飛び散りやすい塗装工事とは、ローラー塗装や吹き付け塗装です。特に、吹き付け塗装は、工法上どうしても塗料が飛び散りやすいことを覚えておきましょう。

 

塗料の飛び散りを防ぐには、業者に細かい部分まで徹底して養生を行ってもらうことです。

 

また、業者のミスで近隣住民に被害が出てしまった場合は、業者に責任を取ってもらいましょう。塗装業者は、万一の際に備えて、損害保険に加入しています。

 

そして、外壁塗装の際には、必ず隣家の車に養生する、もしくは移動してもらいましょう。それでも万が一、隣家へ塗料が飛散した場合は、自分でお詫びに行くことが、スムーズに問題を解決するためのコツです。

 

自宅の備品や物品が破損した

業者の不手際で工事範囲外の備品や家財に汚れや破損がみられた場合は、施工業者に清掃してもらうか、弁償してもらいましょう。

 

塗装業者も、万一に備えて損害保険に加入しているため、遠慮することはありません。この場合は業者に悪気はないため、冷静に話し合いをして解決へと進むことが大切です。

 

また、指摘する際には、証拠写真を残しておくことをおすすめします。トラブルが大きくならないように、動かせるものは動かしておく、大切なものは汚されない場所に移動しておくといった工夫をすると良いでしょう。

 

部屋やリビングが浸水している

外壁塗装では、高圧洗浄機を使い洗浄作業が行われます。高圧洗浄機は、非常に強い水圧で丁寧に外壁を洗っていく作業です。そのため、隙間があるとそこから内部へと水が入り込んでしまうことも少なくありません。

 

窓やサッシのコーキング部分、換気扇のフード回りと外壁の間なども、高圧洗浄機の水が入り込みやすい箇所です。

 

水が室内に入り込んでいることに気付いたら、早急に作業者に伝えましょう。また、高圧洗浄を行う日を事前に工程表で確認し、窓を開けないといった予防策も効果的です。

 

高圧洗浄機は、水を外壁にかけてはいけない方向や、水圧の調整に技術が必要であるため、熟練の職人さんに依頼する方法もあります。もし不安があれば、施工業者に、高圧洗浄作業をするのは塗装作業歴が何年の人か、技術には自信があるのかを聞いてみましょう。

外壁塗装業者との間で発生するトラブル

外壁塗装業者との間で、工事内容や契約に関して問題が発生するケースも少なくありません。例えば、手抜き工事や違約金、追加工事費用などにまつわるトラブルです。

 

ここでは、外壁塗装業者との間で起こりがちなトラブルを解説します。

契約キャンセル時に想定外の違約金を請求される

訪問業者には、「すぐに塗装しないと大変なことになる」などと、消費者の不安を煽り契約を迫る悪質な業者もいます。一度契約した後に解約し、違約金を請求された場合は、クーリングオフ制度を利用しましょう。

 

クーリングオフ制度は、考える余裕がない間に契約してしまった消費者を守るための制度です。クーリングオフ制度を利用すれば、無条件で契約を解除できます。

 

外壁塗装の場合は、業者からクーリングオフの書面を受け取った日から数えて8日です。クーリングオフが使用できるか不安に思った場合は、消費生活センターに相談しましょう。

手抜き工事をされる

通常よりも外壁塗装工事の期間が短い場合は、手抜き工事をされるといったトラブルが多くみられます。

 

例えば、外壁塗装は、下塗り・中塗り・上塗りと、塗装が3回行われ、それぞれに乾燥期間を設けます。そのため、中塗りと上塗りが1日で終わることは、通常ではありえません。

 

しかし残念ながら、必要な工程を行わない手抜き工事を行う業者も存在します。

 

手抜きをされる根本的な原因は、安い工事費用で契約してしまうためです。契約する前に、数社から見積もりを取り、著しく金額が安い業者とは契約しないようにしましょう。

契約後に追加費用を請求される

契約後に追加費用を請求されるトラブルがあります。契約通りの工事内容をしてもらうのであれば、追加請求に応じる必要がありません。

 

対応に困った場合は、国民生活センターに相談してください。

 

例えば、雨漏り修理の場合は、追加工事が発生する場合があります。納得できる内容であれば追加工事を依頼しましょう。その際は、追加工事分の見積もり提出を依頼し、契約を交わすことをおすすめします。

 

また、事前に追加工事が発生する可能性を業者に尋ねておくことも大切です。

 

前金を支払ったのに業者と連絡がとれない

基本的に、外壁工事費用の前払いを要求する業者とは、契約しないようにしましょう。

 

前払いを要求する業者は、資金繰りがうまくいっていないケースが多く、トラブルが起こる可能性も捨てきれません。「前払いをしたのに業者が倒産した」「途中で連絡がつかなくなった」ということも考えられます。

 

例えば、工事前に「リフォーム瑕疵保険」への加入を依頼しておくと、公的な機関に保証してもらうことが可能です。工事の完了後に欠陥が発見され、請け負った業者が倒産した場合でも、必要な補修費用を受け取ることができます。

 

泣き寝入りしないで済むよう、事前に業者の怪しい行動を見逃さず、制度をうまく活用しましょう。

見積もり費用の内訳を詳細に教えてくれない

外壁塗装では、見積もりの内訳を詳細に教えてくれない業者は、不要な費用を計上している可能性があるため注意が必要です。

 

外壁工事には、高圧洗浄費や足場代、塗装代、下地調整費用など、さまざまな料金が含まれています。また、一般の人には聞き慣れない専門用語が並び、理解が難しいケースも多いでしょう。

 

見積もり内容の説明が不十分な業者や、営業担当が親身になってくれない業者は避けることをおすすめします。また、保証がある業者は優良業者です。

 

そして、外壁塗装業者を依頼する際は、相見積もりを取りましょう。相見積もりとは、複数の業者に見積もりを依頼して、内容と費用を検討することです。

 

相見積もりをすることで、悪徳業者を見分けやすくなります。大幅な値下げはないか、工事内容や作業工程は適切かどうかを比較して検討しましょう。

 

トラブルの種類によっては損害賠償を請求できるケースもある

外壁塗装で、品質不良や美観の問題で契約とそぐわない仕上がりであった場合、損害賠償を請求できるケースもあります。話し合いで業者とのトラブルを解決できないときは、公的機関への相談を検討しましょう。

 

国民生活センター、住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、外壁塗装工事でのトラブルを相談できる公的機関です。

 

国民生活センターは、消費者庁が統括しており、外壁塗装の契約内容に関する相談などが行えます。住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、国土交通省から指定を受けた住宅に関する専用窓口である機関です。弁護士や建築士が在籍しているため、専門的な観点からトラブルの解決を手助けしてくれます。

 

自分たちでトラブルの解決が難しい場合は、公的機関の手を借りましょう。

 

信頼できる業者を選んで外壁塗装のトラブルを防止しよう

外壁塗装では、仕上がりのイメージや塗装工事中にもトラブルが起きることが少なくありません。

 

もし、契約してしまったのが悪質業者だと気付いた場合は、クーリングオフ制度を利用するのも一つの方法です。また、万が一の際には、一人で悩まずに国民生活センターなどの公的機関に相談しましょう。

 

そして、トラブルを防ぐためにも、信頼できる業者を選ぶことが欠かせません。契約前によく比較検討して、大切なマイホームの工事を安心して任せられる優良業者を選びましょう。

 

国民生活センターに寄せられた外壁塗装に関するトラブルのうち、裁判外で解決した事例は以下から確認できます。

 

国民生活センター紛争解決委員会によるADRの結果の概要 工事・建築・加工(ADR(裁判外紛争解決手続)の紹介)_国民生活センター

 
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