塗装後に発生するブリード現象とは?原因や対策法を解説!

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コーキングの劣化の中には、ブリード現象と呼ばれるものがあります。

 

サイディングの目地に使われるコーキングは、防水という重要な役割を担っているため、劣化にいち早く気付くことが大切です。

 

またブリード現象は、コーキングのべたつきや黒っぽい変色としてあらわれます。この記事ではなぜブリード現象が起こるのか、起こさないための対策、起こってしまった場合の対処法について解説します。

 

ブリード現象とは? 


シーリングやシールとも呼ばれるコーキングは、弾力性のあるゴム状の資材です。サイディングの目地などに用いられているのですが、これらに見られるべたつきやグレーの変色は、ブリード現象と名づけられています。

 

この現象が起こると見た目が悪くなるだけでなく、コーキングの役割が不十分になり、外壁の寿命を縮める原因になります。

 

ブリード現象が起こってしまったら、べたつきの除去やコーキングの再施工など、何らかの対処が必要です。

 

ブリード現象が発生する原因は?

ブリード現象は、コーキングに含まれる可塑剤と塗料が反応することで起こります。

 

可塑剤はプラスチックなどの樹脂に弾力性を与えるために加えられる物質で、コーキング以外にも身近なところでは、消しゴムや散水用ホースなどに使われています。

 

可塑剤は特定の物質と反応することや時間の経過で他へと移行しようとするのですが、この現象はマイグレーションと呼ばれています。

 

たとえば古いホースの表面がべたつくのもマイグレーションの結果です。塗料と反応することでマイグレーションを起こしてしまったのが、ブリード現象です。

 

ブリード現象の初期症状は表面のべたつきとしてあらわれます。このべたつきによって汚れが付着しやすくなり、コーキングをグレーや黒に変色させてしまう原因になります。

ブリード現象が発生しやすい場所は?

ブリード現象はコーキングが行われているところすべてに起こり得ますが、再塗装後のサイディングボードの目地や補修したひび割れなど、コーキングの上から塗装がおこなわれた箇所でも発生します。

 

変色の原因は汚れが付着することなので、交通量の多い道路に面しているとブリード現象は特に発生しやすくなります。白やベージュの塗装面に起きたブリード現象は、黒っぽいだけにより目立つでしょう。

 

ブリード現象が起きるとどうなる?

シール部が黒ずんでいるのは見苦しいものですが、悪くなるのは見た目だけではありません。ブリード現象が起こると、コーキング、さらにはサイディングボードの耐久性も低下させてしまいます。

 

コーキング剤と塗料が変質し耐久性が低くなる

コーキングに重ねられた塗料は見た目を良くするだけでなく、塗膜で目地を保護する役割も担っています。しかしブリード現象は、塗膜とコーキング両方の耐久性を低下させます。

 

コーキングの役割はサイディングボードへ水の浸透を防ぐことと、大きな振動でボード自体がぶつかり合わないようにすることです。ブリード現象が起きると、これらの役割を果たせなくなってしまいます。

 

そのままにしておくと雨風でサイディングボード自体が劣化するだけでなく、地震などによって大きな割れが発生する恐れもあります。それによってボードの張り替えが必要になる場合は、高額なリフォーム費用が必要になるでしょう。

 

そのためブリード現象を見つけたら、なるべく早くコーキングの打ち直しをしなければなりません。

 

 

外観が悪くなる

黒やグレーに変色したコーキングは、サイディングボードの目地を目立たせ、家の外観を悪化させます。

 

外観が悪くなっただけだからと軽く考えて、そのままにしておくのはあまりおすすめできません。理由は家への愛着が低下してしまう可能性が高いからです。

 

シール部の変色だけでなく、他の箇所の劣化も気にかからなくなることから、家全体の劣化が進みます。もちろん資産価値も失われていきますし、いざ手を入れるとなると大きなリフォーム費用が必要になるでしょう。

 

ブリード現象を見つけたら小まめに補修をすることが、リフォーム費用を抑えるコツです。      

 

ブリード現象を予防する方法

ブリード現象が悪化してしまうと、打ち直しするしかありません。そのため特殊なコーキング剤やプライマー(下地剤)を使って、ブリード現象を予防することが大切です。

 

以下の方法でブリード現象の予防ができます。

 

  • ノンブリードタイプのコーキング剤を使う
  • ブリード現象を防止できるプライマーを塗る

ノンブリードタイプのコーキング剤を使う

ノンブリードタイプのコーキング剤には、ブリード現象の原因となる可塑剤が使われていません。

 

頭文字をとって「NB」と呼ばれることもあるこれらのコーキング剤は、オート化学工業やコニシ株式会社、サンライズ株式会社など大手メーカーが手がけています。

 

中でも注目はオート化学工業の「オートインクシード」で、標準的なコーキング材の寿命が510年、耐久性が高いものでも20年ほどなのに、実に30年の耐久・耐候性を実現しています。

 

現在、広く使われている窯業系サイディングの寿命も30年程度といわれています。塗装のメンテナンス時のコーキングに使えば、壁面の全面リフォームまで目地部の心配はいらなくなります。

 

ノンブリードタイプのコーキング剤

オート化学工業

オートンイクシード
オートンサイディングシーラント

コニシ株式会社

ボンド MSシールNBタイプ
ボンド 変成シリコンコークノンブリードLM

サンライズ株式会社

SRシール NB50

 

ブリード現象を防止できるプライマーを塗る

外壁の再塗装と同時に目地のメンテナンスもおこなうなら、ノンブリードタイプのコーキング材を使えばOKです。

 

しかし既存のコーキングをそのままにして外壁を再塗装するなら、ブリード現象を防止できるプライマー(ブリードオフプライマー)を塗るとよいでしょう。

 

既存のシーリングがノンブリードかどうかわからなくても、プライマーを使用することで好きな色に塗装できます。

 

ノンブリードタイプ以外ならどれでも危険性はありますが、中でもブリード現象が起きやすいとされているのがシリコンのコーキング剤です。

 

表面がツルツルしているなど、シリコン特有の性質を示しているなら、ブリードオフプライマーの使用を検討しましょう。

 

すでにブリード現象が発生している場合の対策

ブリード現象の予防には、ノンブリードタイプのコーキング剤の使用やブリード現象を防止できるプライマーの使用が有効です。

 

近年ではブリード現象について広く知られるようになり、予防できるコーキング剤が選ばれるようになりました。

 

しかし問題は、すでにブリード現象が発生している場合です。広範囲にわたっている場合の対策は、基本的にシーリング材を新しく打ち直すしかありません。

しかし、べたつきのみしか発生していないなど、ごく初期の段階なら、その部分のみに手を入れる方法もあります。

 

真っ黒に変色してしまっては、直すのにかなりの費用がかかりますが、ごく初期なら費用もそれほどかかりません。大切なのは早期発見です。

 

 

シーリングを剥がして再充填・塗料を再塗装する

すでに起きているブリード現象は既存のコーキング剤をいったん撤去して、対策済みのシーリングを打ち直すことで対処します。その後壁面すべてを再塗装して完成です。

壁面の塗装が劣化する前に、ブリード現象の対策だけに全面を再塗装するのは抵抗があるかもしれません。しかし放置しすぎると塗装まで変色が広がってしまう恐れや、サイディングボードの劣化の可能性があることは覚えておきましょう。

 

<h3>ブリードを除去してブリードオフプライマーを塗装する</h3>

コーキング表面がべたついているだけの段階でブリード現象に気が付いたなら、劣化している部分だけを除去できます。

方法は塗料用シンナーなどを塗布した後、ぼろ布でふき取るのですが、べたつきが収まっても安心してはいけません。

除去した箇所に再びブリード現象が起きないよう、ブリードオフプライマーを塗って仕上げます。ただしプライマーは無色ではありませんから、少し目立つかもしれません。壁面を全面塗装するまでの、応急処置と考えましょう。 

ブリード現象の修繕を業者に依頼する際の注意点

表面のべたつきだけならDIYでも補修できますが、コーキングの再充填など本格的な修繕なら業者に依頼すべきです。業者の選び方とおおまかな費用について知っておくことで、安心して依頼できるでしょう。

 

ブリード現象について知識がある業者か確認する

住宅関係全般を扱っているような工務店の中には、知識が不足していてブリード現象を知らないところもあります。まずは修繕を依頼する前に「コーキングが変色しているんですけれど」などと質問し、反応をうかがってみるとよいでしょう。

 

修繕を依頼するなら、ブリード現象に通じている業者を選ぶのがベストです。外壁塗装業者の中でも、コーキングの経験が豊富なところや、屋根の雨漏り修理を得意としているところを頼ってください。

 

 

コーキング工事(シーリング工事)の費用を把握する

コーキングを打ち直した後はどうしても目立ってしまいますから、全面を塗装したほうが見栄えがよくなるでしょう。しかし塗装が劣化する前に、全面塗装は気が進まないのなら、コーキングのみ新しくする方法もあります。

 

既存のコーキングを除去し、新しく打ち直す施工費用は1m当たりで決まります。コーキング剤のグレードで上下しますが、相場は7001,200円です。建坪が30坪の2階建てのお家なら、105,00018万円くらいが目安になるでしょう。

 

既存のコーキングの上から新しく施工する増し打ちなら費用を抑えられますが、長持ちさせることを考えるなら、打ち直しがおすすめです。

 

 

まとめ

コーキング剤と塗料の相性で起こるブリード現象は、コーキング剤やシーリング剤を選ぶことで、発生を防げます。

 

発生しても初期のころなら、DIYで対処することもできるかもしれません。しかしコーキングの打ち直しは大きな工事になりますから、気になる方はアップリメイクへご相談ください。

 
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