こんにちは、アップリメイク代表の齋藤直樹です。
瓦屋根の色が変わってきたり、外壁の塗り替えのついでに屋根の塗装をすすめられたりすると、「うちの瓦も塗らなきゃいけないのかな」と迷いますよね。
瓦には、基本的に塗り替えがいらない粘土瓦と、表面の状態によって塗装を考えるセメント瓦などがあります。
同じ形の瓦でも、手入れの仕方は違うのです。
最初に確かめたいのは、何年経ったかよりも、どの種類の瓦が使われていて、どの部分が傷んでいるかということです。
塗装のいらない瓦でも、棟(むね:屋根のいちばん高い所)や谷板金、瓦の下にある防水シートまで、手入れがいらなくなるわけではありません。
谷板金(たにばんきん)とは、屋根の面と面がぶつかる谷の部分に敷く金属の板のことです。
この記事では、粘土瓦・セメント瓦・ルーガの考え方を分けながら、塗装で対応できる状態と、補修を先にすべき状態をお話しします。見積もりの費用を見るときのポイントもお伝えします。
この記事でわかること
- 粘土瓦とセメント瓦で塗装の必要性が異なる理由
- モニエル瓦やルーガを塗り替える際の注意点
- 瓦の塗装より先に直しておきたい屋根の傷み
- 塗装費用と補修費用を見積書で確かめる方法
瓦屋根は材質で塗装の必要性が変わる
「瓦屋根だから塗装はいらない」「瓦なら何でも塗れば長持ちする」。どちらの説明も、ひとくくりにしすぎています。
屋根の診断では、まず瓦の材質や製品を調べて、その瓦に合う手入れを選ぶのが基本です。
見た目の古さだけで全面塗装を決めてしまうと、いらない工事にお金をかけたり、塗る前に直すべき傷みを残したりすることになります。

瓦屋根の形状と各部を上部から点検
粘土瓦とセメント瓦の違い
粘土瓦は、粘土を形にして焼いた屋根材です。釉薬(ゆうやく:焼き物の表面に付ける、ガラスのような上薬)を使う陶器瓦や、いぶして仕上げるいぶし瓦などがあります。
陶器瓦の色は、釉薬を焼き付けたもの。お茶わんの表面のツヤと同じで、現場で塗り重ねる塗料とはしくみが違います。
ふだんの手入れとして、決まった年数が来るたびに表面全体を塗り替える必要はありません。
一方、セメント瓦は、セメントを主な原料にして形にした瓦です。塗装された表面の傷み方と、瓦そのものの状態をあわせて見て、塗り替えを決めます。
古い塗膜(とまく:塗料が乾いてできる膜)が傷んでいても、瓦自体がまだ使える状態なら、きちんとした下地処理と塗装が選択肢になります。
| 瓦・屋根材の種類 | 塗装の考え方 | 先に調べること |
|---|---|---|
| 粘土瓦(陶器瓦・いぶし瓦など) | 通常の維持管理では全面塗装を必要としない | 瓦の割れやずれ、棟、板金、下地の状態 |
| セメント瓦 | 瓦本体が使用できる状態なら塗装を検討 | 表面の塗膜、ひびや欠け、過去の塗装履歴 |
| モニエル瓦などの乾式洋瓦 | 製品に合う下地処理と下塗りが必要 | 表面の着色層と既存塗膜の付着状態 |
| ルーガ | メーカーの維持管理方法に沿って判断 | 製品・施工時期、本体と役物のそれぞれの状態 |
この違いは、和風の屋根か洋風の屋根か、という見分け方ではわかりません。
粘土瓦にも平らな形のものがあります。「平らだからセメント瓦です」と言われたときは、何を見て材質を確かめたのか、その根拠まで聞いておく必要があります。
種類がわからないときの調べ方
新築のときの仕様書、屋根工事の見積書、保証書が残っていれば、屋根材の商品名やメーカー名を探すところから始められます。
中古で買った家で書類が見つからない場合は、買ったときの資料や、昔のリフォームの記録も手がかりのひとつ。
書類だけでわからなければ、専門の業者が形や表面、見られる表示などを調べ、必要ならメーカーに問い合わせる流れになります。
そのために、ご自分で屋根に上ったり、瓦を持ち上げたりする必要はありません。
写真で候補をしぼれることはあります。ただ、光の反射や以前の塗装で見え方が変わるので、写真一枚だけで材質や商品名を言い切らないことが大切です。
診断のときに手元にあると役立つのは、屋根材がわかる書類・これまでの工事記録・気になる変化を写した写真の三つ。
資料がそろわなくても依頼はできますので、わからない部分はそのまま伝えていただいて構いません。
粘土瓦は塗装以外の手入れを考える
粘土瓦の屋根で色むらや汚れが見つかったときは、それが瓦そのものの傷みなのか、表面の見え方が変わっただけなのかを分けて考えます。
見た目をそろえるための塗装を先に決めてしまうと、その瓦が本来持っている味わいを変えてしまうことにもなるからです。
色の変化だけで劣化と決めない
粘土瓦メーカーの栄四郎瓦は、いぶし瓦の黒ずみなどを、品質が落ちたわけではない、この瓦ならではの色の変化だと説明しています。
鶴弥も、釉薬を使った自社の粘土瓦について、塗料で色を付けた屋根材とは違い、塗り直しは必要ないと案内しています。
これは瓦の表面の手入れの話です。屋根全体の点検をしなくていい、という意味ではありません。
また、陶器瓦には、釉薬の表面だけに細かいひびが入る「貫入(かんにゅう)」というものがあります。瓦そのものまで届いた割れとは、分けて考えなければなりません。
離れた所から見える模様が、こうした表面の特徴なのか、直す必要のある割れなのか。どの屋根も同じようには決められません。
点検を頼むときは、「黒くなったから塗る」という話で進めないこと。
瓦のどの部分に、どんな傷みがあるのかを写真で説明してもらうと、工事が本当に必要かどうかが伝わりやすくなります。
洗浄するかどうかも目的で判断する
汚れを落として見た目を整えたい場合は、洗浄を考えることもできます。ただ、すべての粘土瓦に高圧洗浄が必要なわけではありません。
塗装の前の準備として行う洗浄と、塗装しない瓦をきれいにするための洗浄とでは、目的が違います。
屋根の状態や汚れの種類、瓦の表面をふまえて方法を選びます。瓦の重なりや傷んだ所から水が入り込まないように作業することが必要です。

瓦屋根の表面を洗浄する作業
写真のように屋根の上で水を使う作業では、洗う所だけでなく、下に流れていく水や、まわりへの飛び散りにも気を配ります。
汚れを落とすことばかり考えて水の当て方を決めると、雨のときとは違う向きから水が入り込むおそれがあるからです。
瓦がずれていたり割れていたりする場合は、洗う前に、補修が必要かどうかを見極める順番になります。
瓦をきれいにする工事と、雨水が入る原因を直す工事は、目的を分けてご相談ください。
見た目をよくしたい場合も、先に屋根の状態を調べることで、今の屋根に合う方法を選びやすくなります。
セメント瓦は下地を調べてから塗る
セメント瓦の塗装で大切なのは、塗料を塗れるかどうかだけではありません。塗った後も、その瓦を使い続けられるかを見極めることです。
表面の塗膜を新しくする工事では、割れた瓦を元に戻したり、腐った木の下地を直したりすることはできません。
塗り替えに向く状態と補修の優先
表面の色あせや粉っぽい汚れ、塗膜の剥がれが中心で、瓦そのものや屋根の下地に大きな問題がなければ、塗装を考える余地があります。
ただし、触ると粉が付くというだけで、屋根全体の働きがなくなったと決めるのは早すぎます。
点検では、表面の手入れで済む部分、瓦の交換が必要な部分、下地まで調べる部分を分けて、それぞれの工事を考えていきます。
たとえば、一部の瓦だけが割れていて、まわりの瓦や下地に問題がない。そんな屋根なら、合う瓦への差し替えと塗装を組み合わせる方法が候補です。
反対に、広い範囲で瓦が欠けていたり、防水シートや木の下地の傷みが疑われたりする場合もあります。
そうなると、表面塗装だけの見積もりでは、必要な修理をまかなえません。
塗装、部分補修、葺き替え(ふきかえ:古い屋根材をはがして新しい屋根に取り替える工事)のどれを選ぶか。それは、傷みの広がりと、補修に使える材料を確かめてから決めることになります。
モニエル瓦は表面の層に注意する
モニエル瓦などの乾式洋瓦(かんしきようがわら)には、表面にスラリー層と呼ばれる色付きの層があります。
塗り直すときは、この層の状態に合わせた処理が欠かせません。
傷んだ層が残ったまま上から塗ると、新しい塗膜がその層ごと剥がれてしまうからです。
ぐらぐらの土台の上に家を建てても、土台ごと傾いてしまう。それと同じことが、薄い塗膜の世界でも起こります。
この点を確かめずに、「セメントが原料だから、ふつうのセメント瓦と同じ下塗りでいい」と決めることはできません。
塗料メーカーの水谷ペイントが出している「NADポリマSi」の塗り方の決まりでも、プレスセメント瓦と乾式洋瓦は別の仕様として示されています。
乾式洋瓦には、スラリー層への処理と、下塗りの後に塗料がくっついているかを確かめることが定められています。
この製品の手順をすべての塗料に当てはめるのではありません。使う塗料のメーカーが、その瓦にどんな処理を求めているかを確かめることが大切です。
見積書では下塗り材まで見る
「シリコン塗装一式」のように、上塗りの塗料だけの説明では、乾式洋瓦に合っているかどうかを見極める情報が足りません。
下地処理の方法、下塗りの材料の商品名、下塗りの後に何を確かめるかまで説明があれば、表面をどう整えてから仕上げるのかがわかります。
前に別の塗料で塗られている屋根では、瓦のもともとの表面に加えて、古い塗膜と新しい塗料の相性も考えます。そのため、前回の工事の記録も手がかりにします。
「高価な塗料を使えば下地の問題も解消する」とは考えないでください。
新しい塗膜を支える面が剥がれやすい状態なら、表面にどの塗料を塗っても、その下から剥がれる問題が残ります。
ルーガはメーカーの維持管理に沿う
ルーガの塗り替えは、ふつうのセメント瓦の塗り替えの周期をそのまま当てはめず、メーカーのケイミューが示している手入れの方法を確かめて決めます。
同じ瓦のような形でも、屋根材そのもの、棟などの役物、金属の部分とでは、点検する中身が違うからです。
役物(やくもの)とは、屋根の端や角に使う、形の決まった部材のことです。
年数だけで全面塗装を決めない
メーカーのルーガの手入れについての資料では、定期的に点検して、ずれや割れなどに必要な補修をする考え方が示されています。
また、30年目前後の本体の補修・塗り直し・交換も、これまでの手入れと家全体の状態をふまえて、総合的に決めるものという位置づけです。
これは「30年間何もしなくてよい」という保証でも、「30年で必ず全面塗装」という指定でもありません。
途中で不具合が見つかればそのときに手を打ち、塗装をする場合は専用の塗料や施工方法を確かめる必要があります。
見積もりを頼むときは、「屋根がルーガで、工事したのは何年頃か」をわかる範囲で伝えてもらえると、製品に沿った検討を始めやすくなります。
すでに一度塗り替えてある場合は、工場から出たときの表面と同じ条件ではありません。前回使った塗料も、伝えておきたい情報です。
瓦屋根は、塗装が必要か見極めが大切です
粘土瓦かセメント瓦かを見分け、塗装・補修・点検のどれが必要かをご説明します。
ホームページからのお申し込みは、いつも以上にお値引きを頑張ります
金属部分だけを塗る工事もある
瓦屋根に、金属の棟包み(棟を覆う金属のカバー)などが使われている場合は、瓦は塗らずに、金属の部分だけを手入れすることがあります。
下の写真でも、屋根の面とは別の部材として、棟などに板金(ばんきん:金属の板の部材)が使われている様子がわかります。

瓦屋根と棟の金属部分を点検
板金の表面が傷んでいるなら、状態に合わせて塗装や交換を考えます。留め具がゆるんでいるなら、留めている部分への手当てが必要です。
瓦の塗装がいらないとわかっても、こうした部分の補修までいらなくなるわけではありません。

屋根の金属板金部分をローラーで塗装
写真のような板金の塗装と、瓦全面の塗装とでは、工事する部材が違います。
「屋根塗装」という工事名だけで判断しないこと。見積書の対象が瓦なのか板金なのかをはっきり書いてもらうと、必要な費用がつかみやすくなります。
屋根全体を塗らなくても、傷んだ部材の手入れは必要です。
瓦そのものと板金を分けた点検結果があれば、どこにお金をかけるべきかを具体的に考えられます。
塗装より先に直したい瓦屋根の傷み
雨漏りや、屋根材が落ちることにつながる傷みがあるときは、色を整える工事よりも、その原因を直すことを先にします。
瓦屋根は、表に見える瓦だけでできているわけではありません。水を流す部材や、瓦の下で水が入るのを防ぐ層も大切な役目をしています。
谷板金の穴や接合部を確かめる
屋根の面が谷のように交わる場所には、雨水を集めて流す谷板金が使われることがあります。
屋根全体の写真では目立たなくても、水が通る部分に穴やつなぎ目の不具合があれば、そこから下へ水が入るおそれがあります。

瓦の間を通る谷板金の状態
谷板金は、写真のように瓦と瓦の間に細長く納められた部材です。
瓦の表面だけを見る点検では、谷板金の状態まではわかりません。

谷板金の近接写真と周囲の瓦
近くから撮った写真では、瓦のすぐ横にある板金に、穴が開いた所も見えます。
穴の開いた板金を、表面の塗装だけで元に戻すことはできません。補修か交換かを見極め、必要ならまわりの瓦を外して工事することになります。
見積もりでは、谷の長さに加えて、まわりの瓦を外して戻す費用や下地の補修が入っているかどうかで金額が変わる点にも気をつけてください。
瓦の下まで傷んでいる場合
瓦のずれや割れが続いていた屋根や、雨漏りが出ている屋根では、瓦の下にある防水シートや木の下地まで調べることがあります。
表面だけを塗り替えても、その下に水の通り道ができていたり、木が傷んでいたりする問題には届きません。

瓦を一部外した屋根の下地
瓦を外してはじめて見える部分もあります。工事前の外からの調査だけでは、補修の範囲をすべて決めきれないこともあるのです。
その場合は、何を開けて調べ、どんな状態なら追加工事になるのかを、契約の前に説明してもらっておくと安心です。
「追加費用がかかるかもしれません」という説明だけで終わらせないことも大切です。
写真での報告と金額の提示を受け、納得してから工事を進める。そんな手順を決めておけば、工事中の行き違いを減らせます。

瓦の下にある防水シートと桟木
写真に写っている防水シートや桟木(さんぎ:瓦を引っかけて留めるための細い木)は、完成すると瓦に隠れてしまう部分です。
こうした場所の補修は、工事後の外からの写真だけでは範囲がわかりません。瓦を戻す前の記録が役に立ちます。
塗装と下地の補修を比べるときに注目したいのは、見た目がどれだけ変わるかではなく、直すべき場所に工事が届いているかという点。
棟のずれや漆喰も別に診断する
棟に積んだ瓦のずれ、留めている部分のゆるみ、漆喰の欠けなども、瓦の表面塗装とは別に調べる項目です。
漆喰(しっくい)は、瓦屋根の棟などを固定・保護している白い材料です。
漆喰が使われている屋根で一部が剥がれていても、漆喰の補修だけで済むのか、棟を組み直す必要があるのかは、中の状態や留め方によって変わります。
外から新しい材料を塗り足して形を整えれば解決する、とは限りません。どこが傷みの原因なのかを先に確かめる必要があります。
また、瓦のすき間をすべてシーリング材(すき間を埋めるゴムのような材料)で埋めてしまうような提案には気をつけてください。
瓦の留め方や雨仕舞い(あまじまい:雨水が建物の中に入らないように流す納め方)には、屋根ごとの決まったやり方があります。
水が抜けるべき所までふさいでしまうと、かえって水はけを悪くする原因になります。
補修の説明を受けるときは、使う材料だけでなく、どこに施工するのか、なぜそこなのかも聞いておくと、納得して工事を進められます。
瓦屋根の塗装費用と見積もりの見方
瓦屋根の費用は、塗る面積だけで決まるものではありません。屋根材に合う下地処理や補修、足場の条件まで含めて考える必要があります。
粘土瓦で塗装をしない場合でも、ほかの部分に補修が必要なら、その工事の費用はかかります。
塗装単価と工事総額を分ける
一般的な相場として、セメント瓦やモニエル瓦をシリコン塗料で塗る場合の単価は、1㎡あたり2,000~4,000円程度といわれます。
これは一般的な3回塗りを前提にした目安で、アップリメイクの料金ではなく、足場や補修を含めた工事総額を示すものでもありません。
アップリメイクの屋根塗装は、下塗り2回・上塗り2回の4回塗りが標準です。
料金は屋根面積ごとのプランでご案内しています(例:屋根面積80㎡の高耐久遮熱シリコンで193,600円〜、税込の目安)。足場や補修の要否は、現地調査のうえ見積書で項目を分けて記載します。
一般的な単価で仮に80㎡を計算すると、80㎡×2,000~4,000円で、塗装部分だけで16万~32万円です。
ここに必要な仮設(足場など、工事のあいだだけ置く設備)や補修などを足して工事総額を出します。「80㎡の瓦屋根が16万円で工事できる」と受け取らないようにしてください。
見積もりを比べるときは、税の扱いもそろえて、最後に払う税込みの総額で確かめることが大切です。
| 見積もりの項目 | 確かめたい内容 | 金額が変わる主な理由 |
|---|---|---|
| 瓦の塗装 | 対象面積、下塗り・上塗りの商品名、回数 | 屋根形状、塗料、塗装仕様 |
| 下地処理 | 洗浄、古い塗膜や着色層への処理 | 表面の傷みと必要な作業量 |
| 瓦の補修・交換 | 対象箇所と数量、交換品の適合 | 破損範囲と材料の入手状況 |
| 板金・棟・下地の補修 | 塗装と交換の区別、瓦を外す範囲 | 表面から見えない部分の状態 |
| 足場・養生など | 安全に作業するための仮設と保護範囲 | 高さ、勾配、敷地や周辺の条件 |
二つの見積もりが違うとき
一方の会社は瓦全体の塗装を、もう一方は谷板金の交換だけを提案している。そんなときは、金額だけを並べても比べたことにはなりません。
まず、それぞれの会社が瓦の材質をどう見たのか、どの傷みを工事の対象にしているのかを聞きます。
診断の出発点が違うまま安いほうを選ぶと、必要な補修が入っていなかったり、いらない塗装をしてしまったりするおそれが残るからです。
たとえば粘土瓦の屋根で、谷板金の傷みがおもな問題だとします。
それなら、瓦を塗る費用よりも、谷板金とそのまわりの下地を直す費用を考えるほうが目的に合っています。

瓦を外した谷部に納めた板金
谷板金の工事では、写真のようにまわりの瓦を外して作業することがあります。
表に見えている板金の幅だけでなく、瓦の下に納める範囲や、まわりを元に戻す作業まで含めて、費用を考える必要がある工事です。
予算を相談するときの軸は、今すぐ直す不具合・今回一緒に行うと合理的な工事・経過を見て判断する手入れの三つ。
すべてを一度に行う前提で悩むより、各工事の目的と優先度を業者に説明してもらうと、判断しやすくなります。
費用の差が大きい見積もりでは、塗料のグレードより先に、直す場所と工事の範囲を比べてみてください。
屋根材の種類と診断の写真をもとに話を進めれば、金額が違う理由も具体的に確かめられます。
塗装を選んだ後の施工と確認
塗装が合っていると判断された瓦屋根では、塗る前の補修と下地処理、塗料に合った乾燥時間、完成のときの確認までを、ひと続きの工事として考えます。
仕上げの色やツヤだけでは、下地処理や下塗りがきちんとできていたかまでは確かめられません。
洗浄後は乾燥と下地の状態を見る
塗装の前の洗浄は、汚れや、塗装のじゃまになるものを落とすために行います。
アップリメイクでは、セメント瓦やモニエル瓦を塗る前に、超高圧トルネード洗浄で古い塗膜や汚れを落としてから下地を整えます。
洗浄の役目や、省いたときに起こりやすいトラブルは、屋根塗装の高圧洗浄が必要な理由でくわしく説明しています。
洗い終えた屋根を、すぐにそのまま塗るわけではありません。乾き具合と、補修や追加の処理が必要な所を確かめてから、次の工程に進みます。

瓦の表面へ水を当てて洗浄する様子
写真のように水を使う工程では、「表面が乾いて見えること」と「塗装できるところまで乾いていること」を同じに扱わないようにします。
天気や日当たり、瓦の状態によって乾き方が変わるので、工程表の日付だけで次の作業に進むことはできません。
雨で作業日が変わる場合も、必要な乾燥や、塗り重ねの間の時間をきちんと取れる予定に組み直します。
工期を聞くときは、作業の日数だけでなく、雨が続いたときの連絡方法や、補修が増えたときの予定の変え方まで話しておくと安心です。
完成時は塗った範囲と補修を照合する
工事が終わったら、見積書で決めた瓦の塗装範囲、取り替えた瓦、手入れした板金や棟の場所を、工事写真と照らし合わせて説明してもらいます。
地上から見える仕上がりに加えて、下地処理や下塗り、隠れてしまう部分の補修を、記録で確かめるよい機会です。
高い所の仕上がりは担当者が撮った写真で確かめ、ご自分で屋根に上ることは避けてください。
使った塗料の商品名と色、工事の日、直した場所が残っていれば、次の点検や塗り替えのときに、以前どんな工事をしたのかを伝えられます。
保証についても、「屋根全体」という言葉だけで受け取らないこと。塗膜の保証なのか、補修した所の保証なのか、対象と条件を確かめておくことが大切です。
アップリメイクでは工事保証書を書面で発行しており、屋根塗装の保証期間は使う塗料によって5〜10年です。
工事が終わったときには、塗った面と直した場所を、写真で一緒に確かめる時間を取ってください。
工事の記録を見積書とまとめて保管しておけば、次の手入れを考えるときにも役立ちます。
瓦屋根の塗装でよくある質問
瓦の種類による違いをふまえて、塗装を考えるときによく迷う点にお答えします。
Q1. 粘土瓦は絶対に塗れない?
A. ふだんの手入れとして全面塗装はいらない、というのが基本の考え方です。
色を変えたい、以前に塗られた塗膜が剥がれている、といった場合は、目的と今の表面に合わせて、一軒ずつ考える必要があります。
塗料のくっつき方や仕上がり、その後の手入れも変わります。「塗れる材料がある」というだけで工事を決めないことが大切です。
Q2. セメント瓦は何年で塗装する?
A. 築年数だけでどの家も同じように決めるのではなく、瓦そのもの、表面の塗膜、以前の塗装、まわりの部材の状態を点検して決めます。
塗装の歴史がわからない場合は、今の塗膜が次の塗装の土台として使えるかを調べることも必要です。
雨漏りや瓦のずれがあるときは、塗り替えの時期を待たずに、原因を調べてもらってください。
塗料ごとの目安の年数は、屋根塗装の耐用年数と塗り替え時期の解説にまとめています。
Q3. ルーガも塗装はできる?
A. メーカーの手入れの資料には塗り直しについての扱いがあり、屋根材に合う専用の塗料と施工方法を確かめて考えます。
ただし、使った年数だけで全面塗装を決めるものではありません。
本体と役物を分けて状態を調べ、部分的な補修で済ませるのか、塗装や交換をするのかを見極めることが必要です。
Q4. 塗装で瓦屋根の雨漏りは直る?
A. 瓦の表面を塗るだけで雨漏りが直るとは考えず、水の入り口と原因を調べる必要があります。
割れやずれ、谷板金の不具合、防水シートの傷みなど、原因に合う補修をしてから、別に塗装が必要かを考える順番です。
部屋のどこに、どんな雨のときに症状が出るかを伝えてもらえると、調査の手がかりになります。
Q5. 外壁と同時に塗るべき?
A. 屋根にも必要な工事があれば、足場を一緒に使うことも含めて、同時に工事することを考えられます。
ただし、外壁の足場を組むからといって、塗装のいらない瓦まで塗る必要はありません。
屋根の点検をして、板金などの手入れが必要なら、それを一緒に行う案も比べてみてください。
瓦の種類と傷みに合う工事を選ぶ
瓦屋根の塗装は、まず粘土瓦かセメント瓦か、あるいはルーガなどの製品かを確かめ、その屋根に合う手入れを選ぶところから始まります。
塗装を考えられる屋根でも、割れやずれ、谷板金や下地の傷みがあれば、その原因を直すほうが先です。
必要な工事の範囲を確かめてから費用を比べれば、見た目の変化に振り回されず、屋根の状態に合った選び方ができます。
屋根の上は、ご自分ではなかなか見られない場所です。「本当に塗る必要があるの?」と疑問に思うのは、当然のことだと思います。
屋根材ごとの工事の考え方は、アップリメイクの屋根塗装・メンテナンスの解説でもお伝えしています。
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